【登辞林】(登記関連用語集)


[ち]

嫡出(ちゃくしゅつ) 法律上有効な婚姻関係にある夫婦間に子が生まれること。

嫡出子(ちゃくしゅつし) 法律上有効な婚姻関係にある夫婦間に生まれた子。民法第772条により、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定し、 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定される。そのため、再婚した妻が、後婚の夫との間の子を、離婚後300日以内に生んだ場合、前婚の夫の子と推定されていたが、法務省民事局通達(平成19年5月7日法務省民一第1007号)により、婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子のうち、医師の作成した証明書(懐胎時期に関する証明書)を提出し、婚姻の解消又は取消し後の懐胎であることを証明することができる場合は、民法第772条の推定が及ばないものとされた。嫡出の推定がされない子(推定されない嫡出子)も婚姻中に生まれた子は、嫡出子として取り扱われる。(→非嫡出子)(→準正

チャリタブル・トラスト(Charitable Trust)(→慈善信託

中央銀行 国家の金融機能の中枢をなす銀行。銀行券(紙幣)を独占的に発行し、銀行の銀行、政府の銀行としての機能を果たす。日本銀行、イングランド銀行、中国人民銀行、韓国銀行など。

中央信託銀行(株) 昭和37年5月26日設立。昭和53年1月1日住居表示実施により、本店が東京都中央区京橋一丁目3番地(の3)から、東京都中央区京橋一丁目7番1号に変更。平成12年4月1日、中央三井信託銀行(株)に商号変更。

中央三井アセット信託銀行(株) 平成7年12月28日設立。東京都港区芝三丁目23番1号。平成19年10月1日、三井アセット信託銀行(株)から商号変更。平成24年4月1日、三井住友信託銀行(株)に合併し解散。

中央三井信託銀行(株) 昭和37年5月26日設立。平成12年4月1日、中央信託銀行(株)から商号変更。平成12年4月3日、三井信託銀行(株)を合併。平成12年12月4日、東京都中央区京橋一丁目7番1号から、東京都港区芝三丁目33番1号に本店移転。平成14年3月25日、三井アセット信託銀行(株)に会社分割。平成24年3月1日、CMTBエクイティインベストメンツ(株)を合併。平成24年4月1日、三井住友信託銀行(株)に合併し解散。

中央三井信用保証(株) 昭和53年7月10日設立。平成17年12月12日、東京都中央区日本橋室町三丁目2番8号から、東京都目黒区目黒本町二丁目17番18号へ本店移転。平成24年4月1日、三井住友トラスト保証(株)に商号変更。

中間省略登記 (1)実体上、権利がAからB、BからCへ移転した場合に、それぞれの権利移転に関する登記を省略して、AからCへ直接移転したような外観を呈する登記。
中間省略登記は、原則として認められていないが、現登記名義人及び中間者の同意があれば(事案によっては同意が無くても)、「中間省略登記請求権」が認められるとする判例が存在し、また、所有権がAからB、BからCへ順次移転したことが認定された上で、AからCへ直接所有権移転登記を命ずる判決による登記も認められており、さらに現在の権利関係と符合するかぎり、中間省略によりなされた登記も有効であるとするものもあったため、中間省略登記は、手続きとしても有効との解釈も存在した。この「中間省略手続は手続としても有効」とする解釈のもとでは、新不動産登記法の施行により、登記原因証明情報の提供が必須とされ、登記申請の情報(A→C)と登記原因証明情報との内容(A→B→C)に齟齬がある場合(実際の権利変動と異なる登記原因証明情報を作成することは、もちろん違法である)は登記申請が受理されず、よって、「新不動産登記法施行により、中間省略登記はできなくなった」と考えられ、これに代わるものとして「『直接移転取引』が新たに認められた」と解釈された。
AからB、BからCへ順次売買により所有権が移転した場合に、Bの同意書を添付して、AからCへ直接所有権移転登記を申請することはできない(登記研究518号115頁)。
(→第三者のためにする契約)(→買主の地位の譲渡
(2)実体上、権利がAからB、BからCへ移転した場合に、B名義とする登記は行われず、中間者Bを表示した上で、直接C名義とする登記。
相続登記においては、中間の相続が単独相続である場合(遺産分割、他の相続人の相続放棄等により単独相続となった場合を含む)に限り、中間省略の登記が認められ、中間の相続人は、「平成○○年○○月○○日△△△△(中間の相続人)相続 平成○○年○○月○○日相続」のように、登記の原因中に表示される(明治32年3月7日民刑局長回答、明治33年3月7日民刑第260号民刑局長回答、昭和30年12月16日民事甲第2670号民事局長回答、登記研究424号219頁参照)。
(3)土地又は建物の表示の登記において、地目・地積・床面積等が数次に渡って変更された時に、各変更の経緯を記載することなく、登記簿上の表示を現在の表示に変更するもので、登記実務において認められている。

中間法人 社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団であって、中間法人法(平成13年6月15日法律第49号)の規定により設立された法人。「有限責任中間法人」と「無限責任中間法人」とが存在した。同窓会や、同好会など、それまで、法人格を取得することができなかった団体が利用することができるほか、いわゆる「SPC」にも利用された。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成18年6月2日法律第50号)(以下、「整備法」)による中間法人法の廃止に伴い、この法律の施行の際現に存する中間法人は、この法律の施行の日以後は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年6月2日法律第48号)の規定による一般社団法人として存続するものとされた(整備法第2条、第24条)。

中間法人法 平成13年6月15日法律第49号。公益を目的とせず、かつ、営利目的でない団体(権利能力のない社団)について、準則主義による法人格の取得を可能とするため、平成14年4月1日に施行された。平成20年12月1日、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年6月2日法律第48号)の施行に伴い、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成18年6月2日法律第50号)により、廃止された。

中旬 一月を1日から10日間ずつ3分したときの中間の10日間。11日から20日まで。(→上旬)(→下旬

(独)中小企業基盤整備機構 東京都港区虎ノ門三丁目5番1号。中小企業者その他の事業者の事業活動に必要な助言、研修、資金の貸付け、出資、助成及び債務の保証、地域における施設の整備、共済制度の運営等の事業を行い、もって中小企業者その他の事業者の事業活動の活性化のための基盤を整備することを目的とする(独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年12月11日法律第147号)第4条)。中小企業総合事業団(信用保険業務を除く)、地域振興整備公団(地方都市開発整備等業務を除く)、産業基盤整備基金の業務を統合、承継した。

中小企業金融公庫 中小企業金融公庫法(昭和28年8月1日法律第138号、平成20年10月1日廃止)に基づき、昭和28年8月20日設立。平成20年10月1日、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年5月25日法律第57号)附則第17条第1項の規定により解散し、中小企業金融公庫の権利・義務は、(株)日本政策金融公庫に承継された。

中小企業等投資事業有限責任組合 中小ベンチャー企業への投資促進を主眼として制定された、「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づき、「中小企業等投資事業有限責任組合契約」により成立する組合。中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律(平成16年4月21日法律第34号)により、事業範囲が拡大され、「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」が「投資事業有限責任組合契約に関する法律」と改題されたことに伴い、「中小企業等投資事業有限責任組合」も「投資事業有限責任組合」に改められた。

注文者の責任 請負における注文又は指図に、注文者の過失があった場合に、注文者が負う責任。原則として、注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない(民法第716条)。(→監督義務者の責任)(→使用者責任)(→工作物責任)(→動物の占有者の責任

(ちょう) (1)尺貫法による土地の面積の単位。1町=10(段)=3000
(2)市の下位、村の上位に位置する普通地方公共団体
(3)市町村内の一定の区域。と同等のもの。

長銀信託銀行(株) 平成8年11月27日設立。平成12年6月5日、新生信託銀行(株)に商号変更。平成14年2月9日、東京都港区虎ノ門三丁目12番1号から、東京都千代田区内幸町二丁目1番8号に本店移転。

調査機関 会社法において、会社が電子公告をする場合に、公告期間中、当該公告の内容である情報が不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置かれているかどうかについて調査を行う、法務大臣の登録を受けた者(会社法第941条、942条、電子公告規則第2条第12号、第4条)。(株)エヌ・ティ・ティ・データ他、数社が登録されている。(登録された電子公告調査機関一覧

調査結果通知 会社が電子公告をし、調査機関に当該電子公告の調査を委託した場合に、当該調査の結果を通知したもの(電子公告規則第2条第14号、会社法第946条第4項)。調査結果通知は、当該調査結果を記載した書面を交付する方法、又は、調査結果を内容とする情報を電磁的方法により提供する方法によらなければならず、調査を委託した者が通知の方法を指定した場合は、その方法によらなければならない(電子公告規則第7条第1項)。調査結果通知は、当該公告を要する事項の登記申請において、「公告をしたことを証する書面」として、添付することができる(電子公告規則第7条第3項参照)。

重畳的債務引受(ちょうじょうてきさいむひきうけ) 債務引受の方法のうち、債務引受人とともに、原債務者も引続き債務を負担するもの。爾後、原債務者の債務と引受人の債務は、連帯債務となる。重畳的債務引受は、債権者、債務者、引受人の三者間の合意(三面契約)によるもののほか、免責的債務引受と異なり、債務者の意思に反しても、債権者と引受人間の合意によってなし得る。又、債務者と引受人間の合意により、第三者のための契約が成立し、債権者が受益の意思表示をすることにより効力を生じる。債務者が有する抗弁権は、引受人も主張することができる。原債務がそのまま存続するので、人的保証や物上保証も存続する。「併存的債務引受」ともいう。

調停離婚 家庭裁判所の調停による離婚。有責配偶者からの申し立ても認められる。調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する(家事審判法第21条第1項)。(→協議離婚)(→裁判上の離婚)(→審判離婚

直接移転取引 登記実務上の呼称で、売買契約等において、売買対象となる権利が、当初の契約の当事者以外の者に直接移転する取引。売主A、買主B間の契約において、売買の目的たる権利が売主Aから第三者Cへ直接移転する方式(第三者のためにする契約)、売主A、買主B間で契約をし、その買主の地位を包括的にCに譲渡し、売買の目的たる権利が、売主Aから買主の地位の譲受人Cに直接移転する方式(買主の地位の譲渡)がある。
「新不動産登記法の施行により中間省略登記はできなくなった。」とする考え方のもとでは、「直接移転取引が新たな取引形態として認められた」との解釈がなされたが、直接移転取引は、そのような権利変動があったのであれば、従来から可能であった、と説明されている。

直接強制 (1)民事執行法上の強制執行の方法のひとつで、執行機関により直接、債権の内容を実現させるもの。金銭の支払いを目的とする不動産や動産に対するもの(強制競売強制管理等)、不動産や動産の引渡しを目的とするものなどがある。(民法第414条第1項参照) (→間接強制)(→代替執行
(2)行政上の強制執行の方法のひとつで、義務の不履行に対し、直接義務者の身体または財産に実力を加えて、義務が履行されたのと同一の状態を実現すること。

直接金融 企業や国といった資金需要者が、株式や債券(社債)等の発行によって資金提供者から直接に資金調達をすること。(→間接金融

直接取引 利益相反取引のうち、法人等と、その役員等の間で財産の譲渡契約、担保権の設定契約等を、直接締結する取引。法人等と、役員等が他の法人等を代表してする取引も同様である。(会社法第356条第1項第2号等)(→間接取引

千代田火災海上保険(株) 昭和20年10月20日設立。平成8年5月7日、東京都中央区京橋二丁目1番9号から、東京都渋谷区恵比寿一丁目28番1号へ本店移転。平成13年4月2日、あいおい損害保険(株)に合併し解散。

直系 子や孫のように、ある一人の祖先から血縁関係が直下する親族。(→傍系

賃借権 賃貸借にもとづく賃借人の権利。不動産に対する賃借権は、登記することができる(民法第605条)が、賃借人は当然に登記請求権を有するものではなく、判例は、特約がある場合に限り認められるとする。賃借人は、賃貸人の承諾がなければ、その賃借権を譲渡し、又は、転貸することができない(民法第612条第1項)。(→借地権)(→地上権

賃借権の先順位抵当権に優先する同意の登記 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律(平成15年法律第134号)が平成16年4月1日施行されたことにより、民法、及び、不動産登記法が改正され、登記がされた賃借権は、その登記前に登記をした全ての抵当権者が同意をし、その同意の登記がされたときは、その抵当権者に対抗することができるとされた(民法第387条)。登記の記載は、あたかも、賃借権と抵当権の間で順位変更の登記をしたような記載となる。(登記記録例

賃貸借 当事者の一方が相手方にある物の使用・収益をさせること、及び、相手方がその賃料を支払うことを約することによって効力を生ずる契約(民法第601条)。消費貸借使用貸借と異なり、目的物の引渡しを要せず、合意により効力を生ずる諾成契約である。又、有償契約であり、賃料支払いの合意は契約成立の要件である。物の処分について行為能力や権限を有しない者の賃貸借は、その期間を制限される(短期賃貸借、民法第602条))。賃貸借の存続期間は、20年を超えることができず、これり長い期間を定めても20年とされる(民法第604条第1項)。この期間は更新することができるが、更新の時から20年を超えることができない(民法第604条第2項)。借地借家法の適用のある土地の賃貸借については、同法に特則が設けられている(借地借家法3条)。存続期間の定めが無い時は、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、この場合においては、解約の申入れの日から次の期間を経過することによって終了する。 1.土地の賃貸借は1年、2.建物の賃貸借は3ヶ月、3.動産及び貸席の賃貸借は1日(民法第617条第1項)。賃貸借は継続的契約であり、その解除は、将来に向かって効力を生じる(民法第620条)。
銀行の貸金庫契約は、保管物の寄託契約ではなく、貸金庫の賃貸借と解釈されている。賃貸借の一類型としてリースレンタルが、広く一般に利用されている。

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